下記は毎日新聞、桐野記者らの取材記事。
〇待機児童対策、盲点 運営株式会社「人件費7割なら赤字」 保育士に届かぬ補助
http://mainichi.jp/articles/20161016/ddm/003/100/143000c
〇待機児童対策、盲点 運営株式会社「人件費7割なら赤字」 識者の話
http://mainichi.jp/articles/20161016/ddm/003/100/153000c
ともに毎日新聞2016年10月16日 東京朝刊
とくに企業の保育所では人件費5割~4割が普通になってきています。
全国展開中にいろいろな問題が取り上げられて叩かれている、社会福祉法人夢工房もそれくらいの人件費率のはず。
共産党横浜市議会は下記のように2013年時点で人件費4・5割であることを指摘しています。
〇あらき由美子事務所ニュース
株式会社立の保育園、人件費低さ歴然
http://www.araki-yumiko.jp/wp-content/uploads/2013/08/0814.pdf
つまり「子ども・子育て支援新制度」ができる前からこの状態であり、新制度によって首都圏から全国に同じような問題が拡散しているといえます。
毎日新聞記事にあるように、自治体による補助金の差があります。税収の違いによるものです。これが保育士給与にも影響します。
近くの園より遠くの園の方が、給料がよかったらそちらの方が魅力的に見えます。
保育士も住んでいる自治体をまたいで勤務先を探すことが珍しくありません。
一方、広域展開する保育事業体は、「収益性のよい地域」から補助金を吸い上げて、効率の良い運営と事業展開をすることを考えます。
しかし、その補助金は(すべてではありませんが)その自治体に住む人の払った税金が原資ですから、住民のための保育サービスに使うべきものです。
これが他の自治体の保育施設の運営費に回されることは「税金のあるべき使い方」から離れたものと言わざるをえません。
国は保育施策について各自治体に任せているのでこういうことが起こります。
厚労省側では現場の運用で予算配分を平均化してくれるならいいかという話かもしれませんが、まじめに税金を納めている人にとっては腹立たしいことではないでしょうか?
自治体の担当者が「指をくわえて見ているしかない」とはなにごとかと思いますが…。
もはや言いつくされた感がありますが、社会福祉(とくに地域福祉)と収益事業では文法がまったく違うのです。
無理やり合体させた結果、地域福祉側(社福)も収益事業側(株式)もいびつな進化を遂げようとしているように思えます。
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