ハンガリーの保育を見てきました。

ハンガリーの保育研修に参加してきました。
保育施設と養成校を見学しました。
短い期間でしたがいろいろな経験をさせて頂きました。

ハンガリーは乳児保育園と幼児保育園に分かれています。
資格も乳児と幼児で別です。
配置基準は日本とさほど変わりません。
乳児:0~2歳は6対1、2歳は7対1。
幼児:1部屋最大25名に保育者2人と保育助手1人、3クラスに教育アシスタント1人。
異年齢混合と年齢別が半々です。今回見たのはいずれもたて割り(異年齢混合)クラスでした。

ひとりひとりの生活リズムに寄り添う「流れる日課」が取り入れられており、一斉にトイレに行かせたり、ご飯食べさせたりする保育はしていません。
大人だって、食べたくない時に食べさせられたり、行きたくないのにトイレに行かされるのは嫌なもの。それは子どもを一人の人として扱わないようなものであると、ハンガリーの保育を目の当たりにして感じさせられました。

一人ひとり別と考え、「〇歳児だから」という考え方はしていません。
情緒、知的、身体の発達は人それぞれで、みんな凸凹があります。
その凸凹にあわせて保育者が対応します。
そう考えると一斉保育にしようがないのだと思います。

設定保育にあたる「日課」がありますが、この中でも保育者は子どもたちの凸凹に応じた提示をしていきます。たて割りであればなおさら、凸凹の差は激しいはずですがクラス全員を対象に日課が進みます。

「子どもは騒がしいもの」と思われがちですが、集中して遊べる環境が整えば、子どもは静かです。
大人はその環境整備をするべきだというのが、ハンガリーの保育施設を見た感想でした。

おもちゃの取り合いをして噛みつきがある、ならば同じおもちゃを人数分用意すればいい。
活動的な遊びと机上活動をしたい子、ソファやフロアマットでごろごろしたい子がいる。
ならばブースを分けてそれぞれの活動を保障すればいいというのがハンガリーの保育室の考え方でした。
滑り台やトランポリンがあり、人形があり、パズルやお絵かきができるようにもなっています。
大変機能的に導線を考えられており、また同じ部屋を使った運動遊びの場面ではきれいに部屋の遊具がしまわれているのを見てびっくりしました。同じ部屋なのに…。

サライ美奈ほか(2014)『ハンガリー たっぷりあそび就学を見通す保育』が有名ですが、この本の中にも「ハンガリーではかみつきはない」という記述がありました。
現地の保育者に質問しましたが、「ないよねぇ」というような返事でした。
経験豊富な先生と2年目くらいの若手の先生が保育を見せてくれていました。
なんでも質問してくれとたっぷり時間を用意してくれていました。
むしろ「質問がないのは失礼よ」と言わんばかりの熱意で迎えて頂きました。

養成校ではわらべうたをアカペラで練習していました。
楽器はリコーダーと簡単な打楽器のみ。ほとんど使いません。
素歌でできるだけ音程が一定するように訓練しています。
同じ歌を保育園のたて割りクラスでも歌って遊んでいました。
養成と実践が具体的に結びついている様子がよくわかりました。

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